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脳の病気 Q&A

脳の病気について、Q&A形式でご説明します

脳卒中とは?
突然手足がしびれて動かなくなったり、言葉が話せなくなったり、あるいは意識がなくなったりする発作を”脳卒中”といいます。
昔は、“中気”あるいは“中風”とも呼ばれていました。
脳血管疾患(障害)という言葉を耳にしますが、脳血管疾患=脳卒中ではなく、「脳卒中」とは、「何らかの原因により脳血管に破錠をきたし、突然意識障害や片麻痺などの神経学的異常を来した状態」をいい、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血がそれにあたります。一方の「脳血管疾患」の定義は、「脳のある部分が虚血あるいは出血により一時的または永続的に障害される場合か、脳の血管が一時的に侵される場合、またはこの両者が混在する全ての疾患」と表現されています。
何を言っているのかかえってわかりにくくなってしまいましたが、言い換えますと、「脳血管疾患」には脳動脈硬化による痴呆症(脳血管性痴呆症)のように慢性に経過する疾患も含まれ、「脳卒中」とは脳血管疾患の急性期のことを意味します。
脳卒中の原因は、脳の血管が詰まって血液が流れなくなったり(脳梗塞)、脳の血管が裂けて出血したり(脳出血)して、脳の組織が傷害されることによります。また、くも膜下出血は脳の動脈の一部が風船のように膨らんで、それがある時破裂し大量に出血することで発症します。
脳出血は、昔は“脳溢血(のういっけつ)”とも呼ばれていました。
脳卒中の頻度は?
1960年代までは、日本人の死亡原因の第1位でした。その後は少しずつ減少し、最近の統計(2004年)では、悪性新生物約29万人、心疾患約16万人に次いで第3位の約13万人であり、死亡総数の12?13%を占めています。年間死亡者数約13万人のその内訳は、脳梗塞 78,683人、脳出血 32,060人、くも膜下出血 14,737人、で脳梗塞による死亡が50%以上を占めています。医学の進歩に伴って、脳卒中による死亡は減っていますが、脳卒中にかかる人の数は減っていません。脳出血はやや減っていますが、脳梗塞は増えています。さらに、平成16年の三大死因を性・年齢階級別にみますと、「心疾患」「脳血管疾患」は「悪性新生物」に比べ高年齢で急激に高くなっていることがわかります。
脳梗塞とは?
症状
脳動脈の狭窄や閉塞などの血流障害で脳が破壊される状態で、発症機序によって脳血栓症と脳塞栓症に分けられます。
脳血栓症は、主として動脈硬化などの脳血管の病変によって脳動脈に血栓性の閉塞を起こして発症します。発症は比較的安静時、例えば夜間睡眠中や食事中に片麻痺(体の左側または右側の一側性の麻痺)、言語障害、半身の知覚障害、めまいや意識障害などの症状が出現します。朝なかなか起きてこないので家族が起こしに行ったところ、いびき様の呼吸で様子が変だ、などというケースはよくあります。前駆症状として一過性に手足がしびれたり、呂律がおかしいなどの一過性脳虚血発作がみられることがよくあります。
脳塞栓症は、心臓などでできた血栓が飛んで血流に乗って脳血管をつまらせ閉塞を起こすもので、多くは原因となる心疾患(心臓弁膜症、心筋梗塞や不整脈:心房細動が最も多い)をもっています。発症は突然で急速に完成します。片麻痺、言語障害、半側空間無視(脳の病巣と反対側の空間への注意が欠如する)などの症状がみられます。出来たての血栓のときは溶けてしまったり、砕けて散らばってくれたりすることもあるので、運がいいと軽くてすみますが、多くは重い障害が残ったりします。
脳梗塞はその障害される領域で様々な神経症状が出現し、前述の片麻痺のほかに、顔面麻痺、知覚障害、構音障害、失語、失認、嚥下障害、運動失調などが組み合わされて認められます。
治療
脳塞栓症の場合、発症から3時間以内の超急性期であれば血栓溶解療法(t-PAの静脈内投与)の適応となりますが、3時間以上経過したものに対しては脳保護剤(エダラボン)や脳浮腫改善剤(グリセロール)を投与します。脳血栓症の場合、抗凝固薬のアルガトロバン(抗トロンビン剤)か抗血小板治療薬のオザグレルナトリウム(トロンボキサンA2合成酵素阻害剤)を投与し、脳保護剤を併用します。呼吸や血圧、栄養などの全身管理を行います。加圧された酸素のタンクに入る高気圧酸素療法も行われます。また、失われた機能を可能な限り回復させるため早期リハビリも開始します。
脳出血・くも膜下出血とは?
脳出血
脳実質内の出血は全て脳出血であり、原因としては高血圧、外傷、脳動脈瘤、脳動脈奇形、もやもや病(ウイリス動脈輪閉塞症)などがありますが、通常は高血圧性脳出血をいいます。その名の通り高血圧が原因で脳の血管が破れて出血することで発症し、出血部位としては大脳(84%:被殻38%、視床37%、皮質下9%)、橋(8%)、小脳(3%)などで、昼間の活動時に突然発症することが多く、出血部位、出血量に応じて神経症状や意識障害が出現します。橋出血の多くは重篤で手術の適応もないのですが、他は血腫の量に応じて手術か保存的治療が選択されます。血腫により脳が圧迫され脳浮腫となるので、血圧を下げ、グリセロールの投与、全身管理が行われます。血圧のコントロール、脳浮腫のコントロールに応じて早期リハビリも開始されます。
くも膜下出血
脳を覆っている3層の髄膜(硬膜・くも膜・軟膜)のくも膜下腔に出血が起こることをいいます。最も代表的なものは脳動脈瘤の破裂によるもので、その他に頭部外傷や脳動静脈奇形などで起こります。まれに、脳腫瘍、血液疾患、膠原病などで起こる場合もあります。激しい頭痛、嘔心、嘔吐、意識障害、項部硬直、精神症状を呈します。脳動脈瘤破裂の場合、開頭術による脳動脈クリッピング術を行います。近年、血管内治療(コイル塞栓術)という、開頭術を行わず動脈からカテーテルを挿入し、動脈瘤の中にコイルを詰めて破裂を予防する治療法が注目されています。
脳卒中の頻度は?
1960年代までは、日本人の死亡原因の第1位でした。その後は少しずつ減少し、最近の統計(2004年)では、悪性新生物約29万人、心疾患約16万人に次いで第3位の約13万人であり、死亡総数の12?13%を占めています。年間死亡者数約13万人のその内訳は、脳梗塞 78,683人、脳出血 32,060人、くも膜下出血 14,737人、で脳梗塞による死亡が50%以上を占めています。医学の進歩に伴って、脳卒中による死亡は減っていますが、脳卒中にかかる人の数は減っていません。脳出血はやや減っていますが、脳梗塞は増えています。さらに、平成16年の三大死因を性・年齢階級別にみますと、「心疾患」「脳血管疾患」は「悪性新生物」に比べ高年齢で急激に高くなっていることがわかります。
脳卒中と思ったら?
もし、次のような症状の中でひとつでも起こったなら、直ちに救急病院、または脳神経外科や神経内科のある病院にかかってください。
1. 突然出現した顔、手足のしびれ、または脱力感。特に右側あるいは左側の1側だけに起こった場合。
2. 突然出現した言葉の障害あるいは混乱状態。舌がもつれた感じ、言いたいことが言えない、相手の言葉が理解できないなど。
3. 突然出現した片目、あるいは両目が見えない、見えにくくなる症状。
4. 突然出現しためまい、歩行障害。
5. 突然出現した原因不明の激しい頭痛
このような警告サインがあったなら、躊躇せずに救急車で病院へ行って下さい。
“脳卒中を起こしたら動かしてはいけない”というのは大きな間違いで、一刻も早く正確な診断をして治療を開始するほど、良い治療結果が得られます。意識を失って風呂場やトイレで倒れた場合には、注意深く居間に運んで、呼吸がしやすい楽な姿勢で横にして、救急車の到着を待ってください。また、嘔吐があった場合には、吐物で窒息することの無いように気をつけてください。特に脳梗塞の場合には、発症してから3時間以内に治療を開始すれば、症状を早期に回復させ、後遺症を最小限に食い止めることが出来る可能性があります。
脳卒中の危険因子とは?
脳卒中を予防するためには、その危険因子を正しく理解し、治療でき得るものはきちんと治療しておくことが重要です。脳卒中の発症自体を予知することは出来ませんが、危険因子を是正することによって、発症の危険率を低下させることは出来ます。ご自身の持っている危険因子について、正しく理解しておきましょう。
加齢
年をとると脳卒中の発症率は増加します。脳卒中の約2/3は、65歳以上の高齢者に発生しています。特に脳梗塞の発症率は加齢とともに増加します。
男性
男性は、女性と比べて脳卒中発症率は高くなっています。男性の脳梗塞は女性の1.7倍、脳出血は3.1倍とされています。ただし、くも膜下出血の発生率は、女性は男性の2.3倍と報告されています。遺伝血のつながりのある親族に脳卒中発症者がいる人は、脳卒中の発症率が高くなっています。
高血圧症
高血圧は、最も重要な脳卒中の危険因子です。高血圧症の人は、脳卒中発症の危険性が4?6倍になるといわれています。中年の中等症までの高血圧症の人を対象とした臨床試験では、収縮期血圧を10mmHg、拡張期血圧を5?6mmHg下降させると、脳卒中の発症を約40%抑制できると報告されています。
高血圧は、心臓病や腎臓病の危険因子でもあり、また全身の血管の動脈硬化を促進させます。動脈硬化が進んだ血管は硬くそして狭くなり、血液を十分に送ることが出来なくなります。そうすると、血管内で血液が固まって血栓を作り血管自体を閉塞させて、脳梗塞や心筋梗塞を起こします。また、血管が裂けることにより脳出血を起こします。高血圧症の人は、血圧が上昇するとともに脳出血や脳梗塞の発症率も増加していきます。
脳出血に関しては120?140mmHgから、脳梗塞に関しては140?160mmHgから有意な危険因子となっています(久山町の研究から)
糖尿病
糖尿病は重要な脳卒中の危険因子です。糖尿病の人は、そうでない人と比べて脳卒中を起こす危険性は2?3倍になると報告されています。特に女性のほうが有意にその危険性が高いとされています。糖尿病の人は、高血圧、高コレステロール血症、あるいは肥満を合併していることが多く、それらがさらに脳卒中発症の危険性を高くしています。
高脂血症
高脂血症と脳卒中の関係は、様々な報告があります。日本の従来の報告では、脳卒中との関連は否定的でした。しかし最近の報告では、高LDLコレステロール(悪玉コレステロール)血症や高中性脂肪(TG)が血管壁にコレステロールが沈着して肥厚するアテローム硬化症(粥状動脈硬化症)の危険因子であることが指摘されています。
肥満
肥満は動脈硬化を促進させます。欧米の研究では、肥満の単独因子で脳梗塞の危険性が2倍以上とされています。さらに、内臓脂肪蓄積型肥満に高血糖、高コレステロール、高血圧を合併するメタボロックシンドロームは、動脈硬化を促進させ、脳梗塞、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)のリスクが高まることが危険視されています。
心臓病
心房細動という不整脈や心臓弁膜症は、重要な脳卒中の危険因子です。特に非弁膜症性の心房細動は、脳梗塞患者の11?29%に認めます。この頻度は高齢者ほど高く、70歳以上では3分の1以上ともいわれています。また、非弁膜症性の心房細動を持った人の脳梗塞の発症率は年間5%と報告されています。
喫煙
喫煙者は、非喫煙者の2倍以上の脳卒中発症の危険性があります。特に日本人男性は、喫煙によって脳梗塞(ラクナ梗塞)の危険性が高くなっています。
赤血球の過剰
血液の粘度が上昇して、血管内で固まり血栓を作りやすくなります。脱水状態になることに気をつけ、水分を十分にとるようにしましょう。
脳卒中の既往
脳卒中の再発の頻度は決して低いものではなく、発症後5年間で20?40%とされ、同期間の死亡率は45?61%とされています。多くの報告では発症1年以内の再発率が高く、脳梗塞は脳梗塞として再発することが90%、10%は出血として再発するといわれています。また、脳出血の再発率は年間2.9%で、半数近くは脳梗塞で再発すると報告されています。
脳卒中を発症し急性期治療を乗り切った慢性期の治療は、医師の指導に基づいた抗血小板治療(アスピリンやチクロピジン、クロピドグレル、シロスタゾールなどの服用)や前述の危険因子のコントロール(服薬や生活習慣の改善)が重要です。最近では、高血圧治療薬のインスリン抵抗性改善効果や、高脂血症治療薬(スタチン)の血管内皮機能改善、炎症反応抑制、血栓形成抑制などの効果が報告されています。
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